新潟県中越地震 調査第3報(10.27)
新潟大学 大川秀雄・保坂吉則
主なチェックは3箇所
1.JR新幹線脱線区間の高架橋の調査
車両がある位置からトンネル出口間1.8kmの高架橋をチェックしました。
トンネル出口から新潟に向かって北へのびている直線区間です。
トンネル出口部分は、雪対策のこともあって、100m位がシェッドで覆われています。
周囲は田圃ですが、北西に向かって徐々に地盤面が低くなっていくところです。
橋脚のほとんどは問題ありませんが、出口付近の一部と中間点付近の一部で鉄筋が露出する程度の損傷が見られます。
なお、橋脚の根元部分ですが、多くの橋脚で地割れが見られます。また、約10脚で茶色の泥水の噴出があったようです、根元の痕跡から、50p程度の高さで
しょうか。1本だけ、3m位までの痕跡があります。原因ですが、状態でフーチングが入っていることなどを考え合わせると、液状化とは思えません。振動中に
埋戻し土と橋脚間の隙間の水が水鉄砲のような状態で弾かれたと思われます。

図-1 新幹線高架橋柱の損傷

図-2 柱周辺の変状

図-3 泥水が3メートル程跳ね上がった

図-4 柱間のフーチング上埋め戻し砂の噴き上がり (但し埋戻し土のほとんどは粘性土のようで,事例は少ない)

図-5 高架橋近くの下水道マンホールの浮き上がり
2.トンネル出口付近地盤調査
トンネル出口付近地盤の損傷が大きいため、周囲の地盤を見たところ、N30〜40Eの亀裂が見られました。亀裂を追って山側(東側)のすぐ横の集落内まで
入ったところ、朝、斜面に亀裂が発見されたため立ち入り禁止となっていましたが、村民の案内者が付き添ってくれたため、入れました。詳細は省略しますが、
神社の灯篭などはほぼ東西、特に西方向に倒れていました。近くのケアハウス「岡南の里」に居た避難者の証言として、
(1) 10.27 10:40のM6.0余震の前に山の上に断層に沿う方向に筋状の雲が発生した。
(2) 余震の最中から直後に、同じ方向に竹藪から、雲のよう(水蒸気のようなまたは煙のような)ものが膜状に2回発生した。
とのことでした。案内者が活断層があると言っていましたので、戻って調べたところ、悠久山断層と呼ばれる有名な断層であることが判明しました。ただし、そ
の文献で表示されている断層線の南西の端末位置に一致します。

図-6 トンネル出口付近の地盤の亀裂

図-7 トンネル出口北東側,日光社の灯籠の転倒

図-8 トンネル出口北東側,浄土川堤防護岸の崩落

図-9 トンネル出口北東側,浄土川砂防堰堤の亀裂

図-10 トンネル出口北東側,民家のブロック積擁壁の変状
3.信濃川左岸、越路町・小千谷市の境界付近の液状化跡
北東−南西方向で、田圃の中に幅100m程度の帯状で液状化跡や陥没があります。断層が伏在しているのではないかとの指摘があるところです。昔の水衝部位
置との兼ね合いから旧河道の位置と重なるようにも見えます。今後の検討が必要です。

図-11 信濃川左岸堤内地の液状化と沈下状況1(越路町・小千谷市境界付近)

図-12 信濃川左岸堤内地の液状化と沈下状況2(越路町・小千谷市境界付近)

図-13 レキと暗渠陶管の噴出(越路町・小千谷市境界付近)