新潟県中越地震調査第5報(10.29)


新潟大学工学部 大川秀雄・保坂吉則

寺泊からの海岸部、および柏崎市東部の被害調査を行ないました。

信濃川左岸、越後線寺泊駅周辺には屋根瓦の損傷を受けた家屋がかなりあり、石積みの塀が崩れている箇所がありました。付近では国道116号の路面段差や損 傷、堤防への取り付け道路にも被害が見られます。

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図-1 石積み壁の倒壊(越後線寺泊駅と大河津分水路の間)

出雲崎町地内で海岸の護岸が海側に動き、国道402号が陥没を起こしていました。調査時点では、路面はほぼ復旧していましたが、工事関係者によると陥没量 は40〜50センチ程度だったということです。すぐ近くにある海の家の裏のコンクリート吹き付け法面に損傷が見られます。なお外見上損傷が見られない部分 も地山と剥離している可能性があり、このような箇所は他にも多数あるのではないかと予想されます。

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図-2 海岸護岸のはらみ出し全体(出雲崎町井鼻)

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図-3 海岸護岸のずれ(出雲崎町井鼻)

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図-4 コンクリート吹きつけ壁の損壊(出雲崎町井鼻)


西山町と柏崎市の境界、国道352号脇の斜面が表層崩壊を起こしていました。

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図-5 海岸部の法面表層崩壊(西山町)

柏崎市内、鯖石川の河口付近において大きな被害はとくに認められません。柏崎駅前ではブロック張の歩道が若干沈下していた程度でした。地震被害は、国道 252号を高柳方面に向かい、北陸自動車道を越えたあたりから大きくなってきます。信越線安田駅周辺では埋設管上の歩道の沈下、屋根瓦の損傷、ブロック塀 の転倒が見られました。

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図-6 下水道管渠上部の路面沈下(柏崎市安田)

安田から国道291号を信越線と並行に北東に向かうと、北条から長鳥駅にかけての山間部の区間で比較的大きな被害が生じていました。まず全般的に路面下に 埋設されている埋設管上部が陥没している箇所が多く見つかっています。一部ではマンホールの浮き上がりがあり、直径が2メートル近い大きなマンホールが1 メートル以上の浮き上がっている箇所もありました。道路に関しては埋設管部の他にも路面全体が大きく陥没したり、路肩が崩壊している箇所があります。
信越線は越後広田駅と長鳥駅の間で盛土が崩壊して線路が大きく損傷していました。

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図-7 県道柏崎越路線の大規模な陥没(柏崎市広田)


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図-8 塩ビ製マンホールの抜け上がり(柏崎市広田)


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図-9 信越線鉄道盛土の崩壊(越後広田-長鳥間)


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図-10 大型マンホールの抜け上がり(柏崎市西長鳥)


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図-11 県道柏崎小国線の路肩法面崩壊(柏崎市山)

国道116号沿いについては,路面変状が刈羽村地内で若干あります。主に道路とコンクリート製水路との交差部における段差です。刈羽駅周辺では屋根瓦が損 傷している民家がありました。国道の路面変状も西山町〜和島村間ではほとんど見られませんでした。

追加:10月30日に小国町〜越路町を通過したときの状況です。

国道291号は30日現在で柏崎市北条から小国町七日町まで通行可能でしたが、路肩が崩落し片側交互通行となっている箇所が多くあります。通過しただけで 詳細は調べていませんが、山側の斜面の崩壊などの跡は特に認められませんでした。斜面崩壊は道路と反対側の急傾斜となっているところで多数ありますが、い ずれも小規模のものと思われます。越路町東谷の、渋海川とJR信越線に挟まれた狭隘区間で国道404号が2車線分川側に崩落しています。現在は道路敷外に 迂回路を回して通行可能となっています。越路町塚野山地内で家屋の損傷が目立ちました。

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図-12 国道291号沿いの斜面崩壊(小国町武石)


(文責:新潟大学工学部 保坂吉則)