新潟県中越沖地震 災害調査速報
刈羽村荒浜駅周辺の状況 2007年7月17日 調査 ・・・・ 新潟大学工学部 保坂吉則
刈羽駅から荒浜駅に至る県道黒部柏崎線沿いは,刈羽中学周辺などで多くの倒壊家屋が見られた.ショッピングセンター(Plant5刈羽店)と荒浜駅との中間の刈羽村下高町地内と,正明寺地内にある荒浜駅前の,主に液状化による被害について報告する.
(1)下高町中央部の,神成川右岸でマンホールの抜け上がりが見られた.橋梁取付け部に近く,路面自体も若干沈下した形跡あり,浮き上がりが生じたかどうかは明確でない.マンホール近傍では噴砂も生じた./td>
(2) 道路を挟んで反対側にもマンホールがあり,こちらは路面との高低差が大きく,浮き上がっているものと考えられる.
(3)こちらも近傍で噴砂が確認できた.
(4)県道黒部柏崎線は砂丘末端部と沖積低地の境界付近を走っており,この県道の西北側は非常に緩やかな斜面が越後線に向かって続いている.(越後線を超えると勾配が急になる)
写真は,その斜面の上のほうから撮影した村道の様子で,この道路の突き当たりは(1)〜(3)のマンホール被災箇所になる.途中数箇所で舗装版が圧縮によって損壊しており,刈羽地区で見られたのと同様の小規模の側方流動被害ではないかと考えられる.
(5)舗装版だけではなく,このような側溝の被害もある.
(6)砂丘末端の緩やかな斜面上に建つ住宅の,砂丘側の基礎の様子.基礎と周辺地盤に隙間ができていた.
(7) (6)の住宅の側部.エアコン室外機の基礎ブロックの動きから,住宅が斜面下方に向かって,手前の地盤に対して20cm程度相対移動していることがわかる.
(8)さらに,(6)の反対の平野側の基礎部分の状況.こちらも住宅基礎と前面地盤に大きな隙間が開いている.ガスや水道の計量器は住宅に接していたとのことであり,前面地盤が斜面下方にさらに移動している状況と思われる.斜面の中腹部であるが,全般に引っ張り場にあったものと推測される.
なお,住宅は中に入ると平衡感覚がおかしくなるくらい傾斜してしまい,居住が困難になっているとのことである.
(9)正明寺地内のJR越後線荒浜駅前.刈羽駅前と同様にマンホールから湧水が確認できた.
(10)荒浜駅駐車場内の噴砂と,基礎部の液状化で傾斜した電柱の被災状況.
(11)荒浜駅ホームには縦断亀裂が入って,線路寄りが大きく陥没.亀裂の中には噴砂がみられる.
(12)最も沈下したところは,線路とほぼ同じレベルになっている.
(13)荒浜駅の建屋全景.ホームの沈下とともに,建物にも大きな傾斜・沈下が生じていた.
(14)待合室建物脇の噴砂