新潟県中越沖地震 災害調査速報

半田地区の状況    2007年7月18日 調査 ・・・・ 新潟大学工学部 保坂吉則
北陸道柏崎ICおよびJR信越線茨目駅の南西部に位置する半田地区は,北部が沖積平野で南部は第四紀の安田層の丘陵を切り開いて造成された宅地となっている.中越地震の際には,造成宅地で多くの家屋に被害が発生し,北陸道に隣接する佐藤池運動広場周辺は液状化による被害があったところである.
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(1)佐藤池球場は,名前のとおりかつては池があった場所を埋め立てて建設されている.中越地震では甚大な被害があったが,今回の地震ではあまり顕著な被害は見られない.球場建屋と周辺地盤に若干の段差が発生した程度であった.
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(2)サブグラウンド周辺では噴砂の発生もみられたが,量は少なく,路面の陥没もほとんどない.
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(3)サブグラウンド近くの集水枡の破損.
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(4)地震発生時に行われていた夏の甲子園県予選のスコア.
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(5)高速道路を横断する半田橋の南詰め.段差は5cm以上.半田小学校と総合体育館をつないでいる.
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(6)半田橋北詰めの交差点で発生した路面の亀裂.
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(7)半田橋北詰めから少し先,南半田地内の路面陥没.
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(8)安田層の丘陵高台で高速を横断したあと,半田小学校に向かって坂道が続く.この勾配が変わる交差点で路面の横断亀裂と段差が発生していた.段差の原因はよくわからない.
車両通行に支障があるとの判断で,住民が応急的にバリケードを設置したようだ.このように,通行困難箇所にとりあえず何か目立つものをおいてある事例がこの他にもかなりあった.
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(9)南半田と朝日が丘団地の間を通る道路上で,噴砂と,これに伴う路面の陥没があった.この周辺は谷状となっていて,集水しやすい地形と思われる..
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(10)路面の陥没は,大きな方で直径1m程度であった.
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(11)朝日が丘団地東側斜面の様子.中央にある住宅は,中越地震の際に被災して建て替えられているが,今回の地震の影響は不明.この坂道を下ったところで2箇所に路面の横断亀裂が入り,噴砂が生じていた.
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(12)そのうち1箇所では陥没も生じた.
安田層の丘陵部に広がる宅地において,道路面に変状に着目すると,波打ったり亀裂が多いところと,ほとんど変状がない箇所とに分かれる.上述の南半田地内と,ゆりが丘ニュータウンでは路面変状が目立ったのに対して,北部の朝日が丘団地の丘陵部は路面被害は目立たなかった.一方,朝日が丘地内の北部は,低地を埋め立てて造成されているためか,通行困難となるような路面の亀裂や陥没箇所が多く,とくに丘陵との境界付近で著しい.