新潟県中越沖地震 災害調査速報
鏡町〜豊町地内幹線沿いの状況 2007年7月30日 調査・・・新潟大学工学部 保坂吉則
西本町・東本町の古くからある幹線道路と信越線の間を並行する県道野田西本線は,現在では国道8号や252号から市の中心街に入るメインの幹線となっている.海岸砂丘と沖積平野の境界に位置していると考えられ,標高は駅周辺とほぼ同じで西本町・東本町からは一段下がっている.
(1)イトーヨーカドー丸大の東側にある雑居ビル.基礎部分に少し沈下した形跡がみられる.
(2)県道沿いは,断続的にこのような歩道面の沈下と縁石変状がみられた.
(3)縁石変状を伴う防護柵の傾斜.
(4)カラー舗装されていた鏡町区間の歩道は全域にわたって沈下していた.完全なマウンドアップ型の歩道ではないが,周囲の状況から10センチ程度は沈下していると思われる.
(5)歩道面の沈下は,ほぼ均一に生じているようだ.NTTのマンホール周辺は沈下していなかった.
(6)建物境界との段差からも沈下の状況が確認できる.
(7)越後線の下をくぐる堀割道路の擁壁が,道路中心方向に若干傾斜.
(8)擁壁裏込め部(歩道面)が沈下.
(9)壁面の一部がオーバーハング.
県道野田西本線沿いは法人のオフィスや中規模な商業施設が点在する校外的な風景であり,古い住宅や商店がないためか倒壊した家屋は見あたらない.沿線の被害の大半は上述の歩道部分であった.比角小学校周辺の豊町付近では,L型側溝に砂がたまっている状況が確認できたことから,液状化した可能性が考えられるが,車道路面はほとんど変状がないので,液状化の規模は小さいのかもしれない.