新潟県中越沖地震 災害調査速報
宅地被害(向陽町,中浜) 2007年8月2日 調査 ・・・・新潟大学工学部 保坂吉則
これまでにもいくつかの住宅団地の地盤被害について調査を行ってきたが,今回は主に柏崎市西部の造成団地を中心に視察を行った.その中から,大きな被害のあった向陽町と中浜の事例を詳述する.
(1)半田地区にあって,北陸自動車道の南側に位置する向陽町は,周辺の朝日が丘やゆりが丘と同様に安田層の丘陵部を切り盛りして造成された住宅団地である.団地内の道路は部分的に舗装版が損壊している箇所が目立ち,埋設管.マンホールの周辺での変状も多い.特に外周道路沿いが顕著となっていた.その中でも北陸自動車道に面した盛土の道路が大きく陥没している箇所があった.
写真右手が法面で,法尻から少し距離を置いて高速道路が通っている.
(2)陥没箇所の中央部を写したもの.T字交差点にあるマンホールが傾いていた.住宅に隣接した車庫も傾いている.地域の方のお話によると,道路部分と宅地の一部(車庫部分)までが盛土とのことである.また,中央部の沈下は1メートル程度ということも伺った.
(3)写真(1)(2)の右手奥に見える部分は広場になっていて,盛土区間の末端部と思われる.その一部では幅の狭い陥没が見られた.
(4)写真(1)の反対側から撮影したもの.写真(1)は沈下部に立って写したので,カメラが正しく水平になっていなかった可能性があるが,これは被害の無かった場所から撮影したものであり,路面の横断勾配が斜面方向に向かって大きくなっている様子がわかる.
(5)路面の沈下に伴って煉瓦積み擁壁の基礎が途中で損壊し,擁壁全体が右側に傾いている.
(6)鵜川河口部左岸の中浜地区は,砂丘の最西端にあたる.北側は人工的な2割勾配程度の法面になっており標高差は7m程度.その先は柏崎港の港湾地帯となっている.この法肩部に縦断亀裂が入り,宅地が沈下している箇所があった.
(7)道路部でも同様に亀裂が見られ,歩道が沈下していた.
(8)この歩道は,法肩部にL型擁壁を設置して後付で拡幅したもののようである.
(9)宅地の下は港公園.ここからみた宅地地盤の被害の様子.右側の建物は,コンクリート擁壁が少し沈下しているようである.左側は大きく傾斜して非常に危険な状態となっている.
(10)写真(9)のクローズアップ.右側の新旧擁壁の継ぎ目から砂が流出している.
(11)公園に降りる階段の先では,舗装版が隆起していた.法先の水平移動が原因と思われる.