はじめに集中荷重による地中内応力の増分を求める。
P1による増分は,
P2による増分は,
となる。地盤を弾性体と仮定しているので線形な関係が成り立ち,
2つの集中荷重による地中内応力増分は,その和として,
が得られる。(線形でないと単純な加算ができない。)
続いて,地盤の自重による鉛直応力を求める。
A点に作用する鉛直全応力は,集中荷重分と自重分の和であり,
となる。
この演習問題を通じて表面載荷と土の自重によって作用する地盤内応力の違いについて考察してほしい。
計算の結果より,
[土の自重による鉛直応力] >>[ P2による応力増分]
>>[ P1による応力増分]
というように,それぞれ一桁づつ異なる大きさの値が得られた。
さて,100kNという荷重はおよそ10トンの質量に相当し,荷物を満載した大型のトラックなどのレベルである。
しかしながら深さが3メートル近くになると,このレベルの表面荷重より土の自重の方が遥かに大きいことがわかる。
更に深くなると,Boussinesqの解からもわかるように,荷重直下においても深さの2乗で鉛直応力増分が小さくなっていくため,
表面載荷の影響はさらに小さくなる。
逆に土の自重は深さに応じて比例的に鉛直応力が増えるので,十分深い場所では自動車などの影響はほとんど無視できる。
実際のところ単位体積重量のばらつきによる誤差や地下水面の変動の影響の方が大きくなる場合もある。
もちろん巨大な建物では,その荷重が大きいことと作用範囲が広いので,
地中内応力の増分は,かなり深い範囲まで影響が及ぶものとして検討しなければならない。