(1)コンクリート堤防両側の全水頭差は、図より ΔH = 5.5 m = 550 cm である。
また流線によって区切られた区画数は、Nf = 4、等ポテンシャル線によって区切られた区画数は、Nd = 11 である。
したがって奥行き1cm、1秒当りの透水量を計算すると下のようになる。![]()
これを奥行き 1 m 当り、1日当りの流量に換算する。(2)地表面の全水頭から求める。
G点は地表面上に水面が来ていないので圧力水頭はゼロとなり位置水頭のみである。
b-b'面を位置水頭の基準面とし(z=0 m)、そこからの高さより、![]()
となる。C点では、位置水頭はG点と等しく、加えて水深 5.5 m による圧力水頭が生じてくる。よって、![]()
地盤中の全水頭は、等ポテンシャル線の位置関係から求める。
ここで、隣り合った等ポテンシャル線間の水頭損失は、等ポテンシャル線の定義と全体の水頭損失 ΔH より、![]()
である。D点とE点は同じ等ポテンシャル線上にあり、C点から5番目にあたるので、![]()
F点はC点から9番目にあたるので、![]()
となるが、G点から2番目という関係から同様に![]()
を得ることができる。
参考までに、等ポテンシャル線と全水頭分布を描くと結局下図の(赤線・赤字)ようになっている。
コメント
地盤内の透水を考える時、Darcyの法則と水頭の変化(損失)をきちんと押さえることができるかがポイントとなる。全水頭、圧力水頭、位置水頭の意味を理解し、境界条件(水の入口と出口の状態と水頭、構造物や不透水層と透水層の幾何学的関係、地盤の層構成と透水係数等)を考慮して地下水の流れと水頭の変化をイメージできれば、問題を解くことは容易となるだろう。