(1) 一次元圧密における最終沈下量は、有効応力の増分で決まる。
まず、Case 1の条件における粘土層上面の鉛直有効応力を下式の通り求める。![]()
つづいて地下水位低下後の鉛直有効応力は次の通りである。![]()
したがって、地下水位低下による鉛直有効応力の増加量は、![]()
となる。なお、鉛直有効応力は粘土層のどの深さで計算するか問題となるが、設問の条件では有効応力の増分はどの位置でも同じ量となる。
以上の結果と、平均体積圧縮係数および粘土層厚から最終沈下量を求める。![]()
(2) 境界条件は、上の層が透水層、下の層が不透水層であるので片面排水となり、透水距離は 6 m = 600 cm である。また90%圧密における時間係数は、T90 = 0.848 であるので、粘土層全体の圧密度が90%に達する時間は次の通りである。
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沈下量計算の留意点 最終沈下量の計算問題の正答率が悪かった。多くの学生はテキストの圧密の章の最初に出てきた土の圧縮に関する理論と、最終沈下量の関係をまったく別な物として捕らえようとしているようである。
なる関係式によって圧縮ひずみを求める。この圧縮ひずみと地盤の層厚の積が地盤全体の圧縮量、一次元圧縮ではすなわち沈下量ということになる。 要点は、圧密沈下量は有効応力の増加量に依存してくるということである。 ところがここでひとつ落とし穴がある。 mv というパラメータは、基本的にp'-εv 曲線の接線であり、Δp' が微小な変化であるという前提で線形な関係を与えている。ところが通常はCase1の点での接線によるmv が与えられるので、これで計算すると図に示すように過大な沈下量予測となってしまう。 さらに有効応力の増分Δp' が大きくなるほど沈下量の誤差が大きくなることに注意しなければならない。
これを避けるためには圧縮指数Cc を用いる方法がある。p'-εv 関係は曲線となるが、e - log p 関係は正規圧密過程においてほぼ直線と見なすことができ、圧縮ひずみは下式で求めることができる。 ただしここで注意する点は、圧縮ひずみ量が初期の拘束圧po'に依存する点である。
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